たびたびこちらのコラムでNTTドコモ モバイル社会研究所のレポートを紹介していますが、またまた興味深い調査レポートが公表されていましたのでご紹介します。
テーマは「ニュースを得ているメディア」について。
モバイル社会研究所では、2021年1月にスマホ・ケータイ所有者のメディア利用動向について調査を実施しました。その中から切り出されたレポートを9月21日に公開しています。スマホ・ケータイ所有者が週1回以上アクセスし、日常的にニュース情報(報道)を得ているメディアについて報告したものです。
最近の若者はテレビを観ないという話をよく聞きますが、「ニュース(報道情報)」として調査を行っているためか、意外にも「テレビ」の利用は多いようです。
週1回以上アクセスし、日常的にニュース(報道情報)を得ているメディアを全国15~79歳男女の全体で2010年からの推移をみると、テレビはずっと横ばいのまま。その他の項目でいうと、「パソコンや携帯電話でのWebサイト・アプリ閲覧」は減少傾向にある一方で、それを補うように「ソーシャルメディア」が上昇しています。
パソコン、携帯電話での情報収集はWebからSNSへシフトしていることがうかがえます。
一方、「新聞」は年々、緩やかに減少していき、2010年には60.7%が日常的にニュース情報を得ていましたが、2021年には45.2%まで低下しました。またラジオについては元々20%前後で推移しています。情報を得る手段として多くはありませんが、しかし一定のユーザーがいるということでしょう。
筆者の個人的な見解ですが、地方はラジオの視聴者が多いように感じます。大都市部での通勤・通学は公共交通機関を使いますので、移動の際にスマホを通じて色々な情報収集(SNSやニュース閲覧等)をされる方が大半だと思いますが、地方では自家用車を使用して通勤・通学される方も多く、そうした方々が移動中の情報収集手段としてラジオを利用されているのです。ラジオは地方では欠かせないメディアのようです。
続いて、世代別の利用傾向についてもまとめられています。
週1回以上アクセスし、日常的にニュース(報道情報)を得ているメディアを年代別に見てみると、30~70代では「テレビ」が最も高いですが、10~20代では「ソーシャルメディア」がトップとなりました。40~50代で7割以上、60~70代では約9割の方が「テレビ」からニュース情報を得ています。10~20代では「ソーシャルメディア」がトップとはいえ、「テレビ」もほぼ同じぐらい観ているようです。いや、これはきっと、テレビを観ながらスマホ片手にSNSも触っている感じではないのでしょうか。最近の若者たちは、多様な情報を一度に複数処理するのは当たり前なのです。
なお「ソーシャルメディア」から情報を得ている人は年齢が高くなるにつれて少なくなり、60代で3割、70代で2割程度になります。「新聞」は70代では約7割、60代で約6割、50代で約5割と高いですが、10~30代は2割程度と低く、40代でも4割程度でした。若者の新聞離れが顕著ですね。
また70代では約3割の方が「ラジオ」からニュース情報を得ています。
以上のように、年齢層が上がるほど「テレビ」と「新聞」の利用が高まりますが、モバイル社会研究所ではこの2つについて職業別に利用率を算出しています。これが見事に傾向が異なるところも興味深いです。
「テレビ」から日常的にニュース(報道情報)を得ているのは専業主婦(主夫)、無職が8割以上と高い傾向が見られます。一方で「新聞」から日常的にニュース(報道情報)を得ているのは経営者・役員が7割超えと高い傾向が見られます。そして学生は「テレビ」「新聞」両方ともに一番低い結果となり、学生のテレビ・新聞などのオールドメディア離れの傾向があることが明らかになりました。
テレビはどうしても番組に応じたリアルタイム視聴となるため、時間を比較的に自由に使える職業の方のメディアなのでしょう。しかもテレビの情報は録画再生などしない限り流れていってしまうメディアですので、手軽な情報収集手段である一方で、新聞は必要な情報を残しておきやすいので、経営者・役員といった層の支持が高いのでしょう。
参考サイト
モバイル社会研究所:ニュースを得ているメディア10~20代は「SNS」30~70代は「テレビ」・年々減少する「新聞」:学生のオールドメディア離れも
https://www.moba-ken.jp/project/others/media20210921.html