年度末恒例モバイル回線の見直し│木暮祐一のぶらり携帯散歩道

誘惑が多い量販店店頭のお馴染みの光景

年末や年度末はスマホのセールが目白押しですが、そうした誘惑を横目に多数所持している回線の見直しを行いました。

恒例の年度末回線棚卸?!

誘惑が多い量販店店頭のお馴染みの光景
誘惑が多い量販店店頭のお馴染みの光景

年末や年度末になると、各通信キャリアとも様々なセールを行い、量販店店頭は大変賑やかです。
キャッシュバックもてんこ盛りのこの売り方も、いよいよ見直しが入ろうとしています。分離プランによって端末代金と通信料金を明確にしていくことになりそうです。

それはともあれ、筆者も年末、年度末には所持回線の大幅な見直しを行っています。気が付けばついつい回線が増えてしまうんですよ。

かつて’90年代は、多いときは30回線近くを保持し、月平均の通信料は10万円程度を掛けていました。当時は1名義で同一キャリアで5回線以内というような制約もありませんでしたし、各キャリアのネットワークごと(1G、2G、3Gなど、ネットワーク別に回線契約が別でした)の通信品質などをレビューしていくには、最低でも十数回線は維持する必要があったわけです。

ところが3G以降はSIMカードが導入されたおかげで端末レビューの際にはSIMカードを差し替えが徐々に可能になっていき、所持回線も減り、毎月の通信料もかなり減らせるようになりました。現在の筆者の通信費は5万円を切るところまで来ました。

昨今、分離プラン導入の議論が進んでいますが、さかのぼれば2007年の総務省モバイルビジネス研究会の報告書を受けて、それまで0円販売が当たり前だった携帯電話サービスにメスが入り、端末価格こそ高くなりましたけど、通信料はかなり安くなったんです。

ところがこの業界は同じことが繰り返されるんですね。いつの間にかまた0円販売(実質、一括)が当たり前になり、通信料金の負担は再び徐々に増えていきました。
昨夏の菅官房長官の「携帯電話料金は4割値下げの余地がある」という発言が話題になりましたが、これを受けて総務省は新しい有識者会議「モバイル市場の競争環境に関する研究会」を立ち上げ、春から再び分離プランを導入させるようです。はたしてどうなることやら。

ともあれ、無駄な経費は払いたくありませんので、年度末ということもあり所持回線の大幅な見直しを行うことにしました。筆者としては、端末が安価に購入できるのも魅力はあるのですが、それよりも毎月の通信回線の維持費をどのように抑えつつ活用していくかを重視しています。

たとえば、MNPを使って高額キャッシュバックで端末を抑えて購入し、端末はそのまま売却して購入額を相殺し、これにより通信料の毎月の割引額を増やすことで通信回線の料金を極限まで引き下げ維持するという方法もあるのですが、コレクターの筆者としては端末の売却など可哀そうでできません。手元に置いておいてあげたいわけです。なので、こういう購入はいたしません。

MVNOへの移行を軸に回線を見直し

やはり維持費を抑えるなら、MVNOの活用ということになりましょう。MVNOも競争が激しく、ユーザーの痒い所に手が届くような工夫されたプランやサービスが増えています。
案の定、年度末はMVNOも何かしらキャンペーンを展開しているので、色々と検討した上で筆者が契約したプランをご紹介しましょう。

今回はMNOから2回線、既契約のMVNOから1回線をMNPして毎月の通信料をさらに引き下げることを目的にあれこれ工夫しました。
ちなみに筆者は、気に入った端末はSIMフリーで端末だけ購入するようにしてきましたので、現在使っている端末はそのままで回線契約を見直しSIMカードを差し替えるだけで通信料の引き下げが可能なわけですが、じつはMVNOの中にも端末と抱き合わせで端末価格が優遇される事業者があったのですね。

たとえば、NTTコミュニケーションズが展開するMVNO「OCNモバイルONE」は、NTTレゾナントと組んでスマホの特価販売をやっています。
2月8日から21日まで開催された「総決算セール」では、音声通話が付いたプラン限定ではありましたが、回線契約と同時に端末を購入するとかなりお得に最新SIMフリー端末を購入できました。しかもMNPだけでなく通常の新規契約でもOK。

たとえば、HUAWEIのフラッグシップ端末、Mate 20 Proがなんと68,800円(税別)。この端末は昨年末に発売開始されたばかりで、筆者も12月に有楽町のビックカメラにて衝動買いしたばかりです。11万円ほどしたのに、それが68,800円ですって。もうショックですよ。

それ以外にも、HUAWEI P20 liteが5,300円、そして2月1日から発売開始されたばかりのHUAWEI nova lite3が、すでに8,800円ですよ。世の中、HUAWEI排除の動きもありますが、実際に使ってみるとなかなか良い端末です。

HUAWEI以外にも魅力的な特価端末が多数ありました。スマホは筆者の勤め先の大学でゼミ活動に欠かせない道具ですから、せっかくこんなお得に買えるんだったらやはり数台いっときましょう。
(教育・研究活動も自腹でやらざるを得ないところが多いんです・涙)

OCNモバイルONEが2月に展開していた端末セットの特価セール
OCNモバイルONEが2月に展開していた端末セットの特価セール
ということでHUAWEI端末がたくさん届きまして… ちなみにHUAWEIはデュアルSIM対応(P20 liteは国内同時待受不可ですが)で、これがとても重宝
ということでHUAWEI端末がたくさん届きまして… ちなみにHUAWEIはデュアルSIM対応(P20 liteは国内同時待受不可ですが)で、これがとても重宝

このコラム記事が掲載される頃にはすでにこのキャンペーンは終わっているでしょうが、年度末にはまた新たなキャンペーンが展開されているかもしれません。

OCNモバイルONEの料金プランは、データ容量の設定で、一般的な「月単位」のほかに「日単位」のコースがあるのが特徴です。
たとえば、データ通信専用のプランで、最もミニマムなプランが110MB/日コースで月額900円(税別)。これは1日当たり110MBまで通信速度制限なしで使え、もし110MBを使い切ってしまっても、低速で通信が可能というプランです。
月換算にすると3.3GBも使え、それで900円です。毎日持ち歩く端末に入れておくSIMに最適なプランといえます。

筆者の場合、これに通話プラン「ベーシック」(700円)を組み合わせ、月額1,600円でほぼ不満なく使えていました。

なお、OCNモバイルONEでは、3月31日まで「新生活応援割」というキャンペーンを展開中で、これを適用するとどのプランも毎月320円値引きされ、110MB/日コースであれば月額1,280円(税別)で、月に3.3GBも通信容量が付いた音声通話可能な回線を維持できてしまいます。

ドコモ以外のネットワークを使ったMVNO

ところで、以前はMVNOというとドコモのネットワークを利用するものばかりでしたが、最近はauやソフトバンクのネットワークの利用が可能なMVNOも増えてきました。
筆者としても、全キャリアのネットワークに対応した通信回線は維持しておきたいので、auやソフトバンク対応のSIMも契約したいと思います。OCNモバイルONEはあいにくドコモのネットワークに対応した回線しか提供していませんので、それ以外のMVNOも物色してみました。

ちなみに、au系のMVNOであれば、ケイ・オプティコムの「mineo」やUQモバイル、ジュピターテレコムの「J:COM MOBILE」などがありますが、すでにUQモバイルで1回線を維持しているので今回は新たな追加はありません。

ちなみにUQモバイルはKDDIのサブブランドという位置づけで、ワイモバイルと並んだ今一つMNOに近い料金プランが推奨されているようですが、じつは「その他の料金プラン」としてまるで裏メニューのようなプランが用意されており、3GB/月の高速データ通信が利用可能な「データ高速プラン」はなんと980円/月で、最低利用期間の設定もありません。
音声通話が付くと1,680円/月となり、最低利用期間が12カ月となりますが、25カ月間縛られる表メニューよりは縛られ感がなくて精神的によさそうです。

筆者は、「データ高速プラン」ですでに長期間回線契約をして利用させていただいております。通信速度なども十分満足です。

UQの表メニュー
UQの表メニュー
UQの「その他の料金プラン」にあるメニュー
UQの「その他の料金プラン」にあるメニュー

一方、ソフトバンクネットワーク対応のMVNOですが、これは相変わらず色々と制約が多いようです。ソフトバンクはデータ通信専用、iPad専用、iPhone専用など、そもそもMNOとしてもSIMの種類が多数設定されており、SIMフリー端末の利用にも制約が多いキャリアでした。
MVNOでは端末縛りはなくなりそうですが、それでもiPhone用、Android用、iPad用などを選ぶ必要があるようです。

今回契約することとしたソフトバンクネットワーク対応のSIMは、MVNOの老舗、日本通信が展開するb-mobile」の「190 PAD SIMです。データ通信専用ですが、なんと190円/月から維持できる回線です。ネットワークはドコモとソフトバンクを選べますが、ソフトバンク回線ではiPad専用かiPhone専用を選択となります(ドコモのほうは端末の制約はありません)。

筆者はこれも業務用のソフトバンクSIMロックのiPadを使っていまして、これに使う回線として契約してみました。そのiPadもほとんどは屋内のWi-Fi環境で使っているもので、モバイルによるデータ通信は滅多に使いません。
ですので、この「190 PAD SIM」はベストです。データ通信の利用がなければ190円/月! もし仮にデータ通信を使っても、3GBまで850円/月、15GBまで使っても3,280円です。データ通信料の上限設定もできるので、安心。

結局回線はこんな感じになりました
結局回線はこんな感じになりました
b-mobileはSIMカードのサイズを選択する必要があります
b-mobileはSIMカードのサイズを選択する必要があります
OCNモバイルONEのSIMカードはマルチカットタイプ
OCNモバイルONEのSIMカードはマルチカットタイプ

b-mobileには、このほかに「990 JUST FIT SIM」なんてプランもありました。これは前述の「190 PAD SIM」に音声通話がついたプランのようで、音声通話可能な回線に従量制のデータ通信をセットにしたもの。音声通話回線を990円から維持できるというのはかなり魅力的です。

じつは良番電話番号をほぼ維持するだけという回線も所持しておりまして、MVNOであればこれまでは月額1,600円台というのが最低料金ラインでしたが、それよりもさらに500円以上安価に維持できる魅力的なプランです。
ということで、他のMVNOからこの990 JUST FIT SIMに乗り換えることにしました。

ちなみにMVNOもビジネスですから、サービス品質や対応は各社各様です。たとえば、MNPでの転出の際に一般の倍ぐらいの手数料を設定しているところもありましたし(解約違約金とは別に)、今回2年以上も契約していて転出することになったMVNOはMNP予約番号の発行に数日を要していましたし(それでいてMNP予約番号の有効期限は申込日基準)、契約後の回線管理方法(Webのマイページなど)の使い勝手がひどいところもありました。
そういったレビューまではネット上であまり見かけないですが、今後は情報共有が必要そうですね。(今回はあえて詳しくは書きません)

ということで今回、3回線をMNPにより見直しをするつもりでしたが、魅力的なプランなどを見つけてしまって、結果的に新規2回線を増やしてしまいました。はたして何のための見直しだったか(笑)

とはいえ、見直しを行ったMNP前の3回線(MNO 2回線、MVNO 1回線)の毎月の基本使用料が14,912円(税込)だったものが、回線は+2本となりましたがその5回線分で5,424円(税込)となりましたので、結果オーライとしましょう!
(内訳、OCNモバイルONE・月額1,280円×3回線、b-mobile・月額190円×1回線、月額990円×1回線)

ちなみに通信速度ですが、OCNモバイルONE、b-mobileともMNOとそん色なく快適です。MVNOによっては通信速度があまり出ないところもあるようです。もちろん、通信を利用する地域の問題もあります。
青森市はユーザーが少ないのか、ビュンビュンでした!(人口が集中している東京の皆さん、ごめんなさい)

b-mobile「190 PAD SIM」(ソフトバンク回線)の通信速度(端末はiPad Air)
b-mobile「190 PAD SIM」(ソフトバンク回線)の通信速度(端末はiPad Air)
OCNモバイルONE(ドコモ回線)の通信速度(端末はiPhone X)
OCNモバイルONE(ドコモ回線)の通信速度(端末はiPhone X)

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