ドコモが災害時等でのドローン中継局運用を開始|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

NTTドコモは2022年2月9日より、災害などにより利用が困難となった携帯電話サービスエリアの早期復旧を目的として「ドローン中継局」の運用を全国で開始しました。

この「ドローン中継局」は、災害等で基地局が被災した際に、ドローンに専用の小型中継局を搭載して飛ばし、臨時に通信エリアを作ることで通信サービスを継続しようというものです。ドローン搭載の小型中継局で周辺の基地局電波を上空で捉え、中継します。

従来は、災害時等に移動基地局車などが現地に駆け付け電波を中継したりしていましたが、移動基地局車そのものが高額な設備であり、このため配備台数も限られたものでした。一方でドローン中継局は移動基地局車に比べて可搬性に優れ、コストも考えれば数多くの配備が可能になるでしょうから、より柔軟で迅速なエリア復旧が可能となります。ドコモによれば現場到着から約1時間で運用を開始することが可能とのことです。

しかし、アイデアとしては以前からありましたが、ドローンを実際に運用していた筆者からすると、そもそも長時間の飛行が困難なドローンを使うため不可能ではないかと考えていました。現在空撮などに使用するドローンの多くは、フル充電してもせいぜい15~20分程度しか飛ばせません。電池交換のために着陸させていたら、その都度通信断が発生してしまいます。

いったい、どんな仕組みでドローンを常時上空に飛ばしておくのかと思っていたのですが、なんと意外にも簡単な方法で解決していました。

なんとドコモのドローン中継局は陸上から電源線で常時接続し、電源供給をした状態で飛ばすのだそうです。空には飛んでいますが、陸上からワイヤーでつながった状態で飛ばすというわけです。

運用イメージ(ドコモ広報資料より)
運用イメージ(ドコモ広報資料より)

こうしたドローンを係留して使う中継局の運用は、2020年6月の電波法改正により実現可能となったそうで、ドコモではそれ以降このドローン中継局の一部地域への配備や飛行訓練をすすめてきました。そして全国主要保守拠点への配備および運用習熟が進んだことから、このほど全国での運用開始をリリースしました。

ドコモのドローン中継局(ドコモ広報資料より)
ドコモのドローン中継局(ドコモ広報資料より)
訓練の様子(ドコモ広報資料より)
訓練の様子(ドコモ広報資料より)

東日本大震災の際にも多くの方が経験されたと思いますが、携帯電話の電波を送受信する基地局設備が被災すると、それまで通信可能なエリアだった場所が「圏外」になってしまい、自身のスマホでの通話や通信が一切できなくなってしまいます。

こうした被災エリアで一刻も早く通信を復旧させるべく通信事業者が対策を講じていくわけですが、このドローン中継局であれば搬送に大きな貨物車両も不要でしょうから、より迅速な運用が期待されます。

収納されたドローン中継局(ドコモ広報資料より)
収納されたドローン中継局(ドコモ広報資料より)

もちろん、こうした設備が実際に使われるような災害等が起こらないに越したことはないですが、万が一に備えてこうした新たな技術が配備されていくのはありがたいことです。

<参考>
NTTドコモプレスリリース:「ドローン中継局」の運用を全国で開始 -災害時の迅速なエリア復旧をめざす-
https://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/2022/02/09_00.html

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