筆者が理事を務めているITヘルスケア学会では「スマホやタブレットなどを医療分野に活用しよう」という研究に取り組まれる先生方が集う「移動体通信端末の医療応用に関する分科会」というのがありまして、この分科会主催で2010年から「モバイルヘルスシンポジウム」というのを開催してきました。
筆者は2015年からこの分科会長をお引き受けし、2015年5月には熊本市にて盛大に「モバイルヘルスシンポジウム2015」を開催したのですが、それ以降は「もはやモバイルでできることはやり尽くしたな」という気になりましてしばらく開催をお休みしていました。
ところがです。この数年、世界ではスマホから気軽に診察を受けられる、いわゆるオンライン診療サービスが続々とローンチしてきたのです。
我が国でも2000年頃から通信キャリア各社の近未来モバイルライフイメージ映像に必ずオンライン診療らしきシチュエーションが登場こそしますが、なかなか実用化に辿りつきません。医療に関連する法令解釈に関しては規制も緩和されたものの、2018年3月にようやく保険収載されたオンライン診療をめぐる診療報酬が積極的に利用しようというものではないことと、同時に発出されたオンライン診療指針に様々な制約が求められてしまったことなど課題が山積でした。
そこで昨年、こうした課題に対して議論をしていこうと、このシンポジウムを復活させ「モバイルヘルスシンポジウム2019」を開催し、世界で注目されているオンライン診療サービス事例の講演などを踏まえ、パネルディスカッションなどを行いました。
そして今年はさらに内容を拡充させまして、来る9月12日(土)、13日(日)の2日間かけてZoomウェビナーを使ったオンライン公演による「モバイルヘルスシンポジウム2020」を開催することとなりました。
医療サービスを利用する患者視点では、やはり手軽に医療にアクセスできる環境が求められているはずです。手元にあるスマホからいつでも気軽に診察を受けられたらこれほど便利なものはないと思います。そこで投薬で済むような病気であれば薬が届けられてきて、あるいは直ちに専門医療機関で治療が必要ということであれば、最寄りの医療機関の予約につながればスムーズです。
世界ではこうしたサービスが実現しているのに、日本ではこれが容易ではないだろうと思われていました。
ところが、新型コロナウイルス感染症がこの世界を大きく変えました。医療機関に行きたくても、万が一の感染が心配で通院できないという人たちのために、時限的な措置とはいえ、オンライン診療に関連する規制が大きく緩和されました。同時に、オンライン診療を活用するためのツールやサービスも急速に注目されるようになりました。
今年の「モバイルヘルスシンポジウム2020」では、わずかこの半年で大きく変貌を遂げているオンライン診療周りの動きを集大成した講演会として企画しています。
9月12日(土)は、新型コロナウイルス感染症を巡る国側の動きについて、前IT・科学技術担当大臣の平井卓也氏と、8月で厚生労働省を退任された前・厚生労働省医務技監の鈴木康裕氏に特別講演をいただきます。午後は新型コロナウイルス感染症をめぐってスマホがどのように役立ったかという観点から、LINE公共政策室長・福島直央氏、慶應義塾大学医学部教授・宮田裕章氏のご講演。
さらに我が国でもいよいよサービスインしたスマホを通じたオンライン健康医療相談サービスを提供する2社にご登壇いただくほか、国家戦略特区を活用した自治体のお取組などもご講演いただきます。
翌13日(日)は、さらに医療の現場の話を中心に、オンライン診療の活用とそれを支える最先端ICT(とくにAIの活用など)をご講演いただき、パネルディスカッションにつなげていきます。
大変盛り沢山なプログラムとなっていますが、学会会員以外の一般の方も2,000円の参加料ですべてのプログラムをご視聴いただけます。
お時間ありましたらどうぞご視聴にいらしてください。
「モバイルヘルスシンポジウム2020」をオンライン開催
テーマ:医療・ヘルスケアICTの社会実装に向けた最新動向と課題
<開催概要>
主催: ITヘルスケア学会 移動体通信端末の医療応用に関する分科会
後援: 一般財団法人情報法制研究所、一般社団法人ブロードバンド推進協議会
開催日時:2020年9月12日(土)?13日(日)
開催方法:Zoomウェビナーを使用したオンライン開催
<詳細プログラムおよび視聴方法>
シンポジウムウェブページをご覧ください
http://ithc.mobi/