KDDIは、第5世代移動通信システム「5G」におけるスタンドアローン構成の実用化に向け、通信機器ベンダーのシスコシステムズ、エリクソン・ジャパン、ノキアソリューションズ&ネットワークスとそれぞれ協力し、5Gコアネットワークにおけるスタンドアローン構成の実装に向けた実証実験を各社と実施し、成功したと公表しました。
すでに世界では5Gがスタートしており、世界で最初の5G商用営業を始めた韓国は昨春に取材しこちらにレポートをまとめていたところです。いよいよ日本でもその商用サービスがスタートするところまで来ました。
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5Gは「超高速」「多数同時接続」「低遅延」を特徴としていますが、韓国で5Gの速度調査を行ったところ(https://www.rbbtoday.com/article/2019/05/16/169878.html)、そこそこ速度は出たものの「低遅延」はあまり実感することができませんでした。
じつはそれもそのはずで、韓国でスタートした5Gは既存4Gのコアネットワークを利用し、末端の基地局部分を5Gにしたノンスタンドアローン構成で構築されたもので、5Gのポテンシャルを十分に発揮できるとは言い難いものだったのです。世界で5Gを先駆けた韓国や米国のほか、すでに各国で5Gがスタートしているものの、それの大半は4Gのコアネットワークを利用したノンスタンドアローン構成です。
5Gのポテンシャルを余すところなく発揮するために必要な5Gのスタンドアローン構成は、5Gの無線技術に5G専用に開発したコアネットワーク設備を組み合わせるシステムを構築する必要があります。4Gのコアネットワークを利用する5Gのノンスタンドアローン構成とは異なり、5G技術のみでエンドツーエンドの通信を実現させなければ「超高速」「多数同時接続」「低遅延」を実現させることができません。とくに「低遅延」に関しては、たとえば遠隔通信による自動運転や遠隔医療手術といった分野で重要なこととなってきます。
これらは5Gコアネットワークの実現と、それに加えネットワークスライシング技術やモバイル・エッジ・コンピューティング技術などとを組み合わせることで実現させていくとされています。
KDDI等が行った今回の実証実験では、5Gのスタンドアローン構成によりコアネットワーク側で用いるクラウドネイティブ・アプリケーションやオーケストレーションなど、各ベンダーが開発したソフトウェアを用いて5Gコアネットワークの評価を行い、ネットワークスライシングなど5Gで本格的に実現する機能の動作検証に成功したとしています。
そうなんです、5Gの商用サービス開始は間近なのですが、5Gが本領を発揮するのはこの5Gコアネットワークがあまねく整備されてからということになります。この5Gコアネットワーク構成の実装に向けた実証実験を行っているような段階というわけで、5Gが描く夢のような世界の実現はまだほど遠そうです。
KDDIプレスリリース
「5Gコアネットワークにおけるスタンドアローン構成の実装に向けた実証実験に成功」
https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2020/02/20/4291.html