MVNOは通信速度で選ぶべし|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

速度調査結果。当たり前といえば当たり前ですが、MNOのサブブランドであるY!mobile1と、UQモバイルはそれなりに快適そうですね

スマホの通信回線をMVNO(Mobile Virtual Network Operator、いわゆる格安SIMなど)に乗り換えると、かなり通信コストが押さえられますよね。筆者も、ほとんどの回線をMVNO各社にMNPして毎月の通信料(電話代)はかなり安価になりました。
MVNOは、既存のMNO(ドコモ、au、ソフトバンク等)のインフラを借りて独自ブランドで通信サービスを提供するサービスで、その通信エリアは借用しているMNOと同じということになります。たとえば、NTTコミュニケーションズが展開するMVNOであるOCNモバイルONEはドコモのネットワークを借用していますから、本来であればドコモの回線契約と全く同じように遜色なく使えるはずなのです。

ところが、実際に契約して使ってみると、MNOと同等とはいかないことに気付いてきます。何より、通信速度が思ったほど伸びないのです。ようするにMVNOに乗り換えると、スマホを使っててサクサク感が無くなったりするんですよ。もちろん、通信する場所やネットワークの状況にも大きく左右されますが、MVNOの場合はMNOから帯域(通信の最大容量とでも言っておけばよいでしょうか)が限られているので、ユーザー数によってはスピードが落ちてくるわけです。

筆者も各社のMVNOを契約して比較しながら使っていますが、契約しているMVNOによって結構スピードが変わるな、と感じていました。そんなことを考えていたところ、MMD研究所から面白いレポートがリリースされてきました。

MMD研究所は、3月4日に「2020年3月格安SIM・格安スマホ通信速度調査」の結果を発表しました。まさにこれ、主要なMVNOを思い切り速度比較したレポートなんですね。まさにこういうのが定期的に公表されると、MVNOの競争にも火がついて面白いことになりそう。

調査の方法ですが、「Ookla Speedtest.net」と、Web/YouTubeのLoading Timeを計測できる「5Gmark」の2アプリを利用して計測。調査端末は「HUAWEI P20 lite」で統一、調査期間は2月4日~2月6日で、主要3都市(東京、名古屋、大阪)の駅で1回目9時~10時、2回目12時~13時、3回目17時~18時という時間帯で5回ずつ調査したそうです。調査対象のサービスは、

・Y!mobile
・楽天モバイル
・mineo
・UQ mobile
・OCN モバイル ONE
・IIJmio
・BIGLOBEモバイル
・イオンモバイル
・LINEモバイル
の各社。

調査結果のダウンロード速度を箱ひげ図で見ていくと、中央値が高かったのはUQ mobileが39.2Mbps、次いでY!mobileが35.0Mbps、イオンモバイル(NTTドコモ回線)が27.3Mbps。
昼12時~13時の時間帯でダウンロード速度の中央値を見てみると、UQ mobileが37.9Mbpsで最も早く、次いでイオンモバイル(NTTドコモ回線)が 28.1Mbps、OCNモバイルONEが20.6Mbpsとなったそうです。

速度調査結果。当たり前といえば当たり前ですが、MNOのサブブランドであるY!mobile1と、UQモバイルはそれなりに快適そうですね
速度調査結果。当たり前といえば当たり前ですが、MNOのサブブランドであるY!mobile1と、UQモバイルはそれなりに快適そうですね

従来の計測方法である全日全時間帯の平均値の速度結果は、ダウンロード速度はUQ mobileが46.2Mbpsで最も速く、次いでY!mobileが41.8Mbps 、イオンモバイル(NTTドコモ回線)が33.1Mbpsとなりました。
計測アプリ「5Gmark」で計測したYouTubeでのloading Timeの平均値は、BIGLOBE モバイル(NTTドコモ回線)が1.5秒と最も短く、次いでUQ mobileが1.8秒、mineo(NTTドコモ回線)が2.2秒と続く。Webのloading TimeはY!mobileとUQ mobileが1.4秒と最も短く、次いでOCNモバイルONEが1.8秒、イオンモバイル(docomo回線)が1.9秒とのこと。詳細は、MMDのリリースをご参照のこと。

このレポート、筆者としてもものすごく参考になります。しかも3月上旬に公表されたわけですが、3月といえば1年の中で最もキャリアの乗り換えが多い時期です。これを参考にMVNOをどこにするか参考にされた方は多いのではないでしょうか。
ただし、冒頭で述べたようにMVNOは顧客数やその利用状況が通信速度にそのまま跳ね返ります。これを参考に多くの人が乗り換えると、もしかしたら4月以降は各社の通信速度状況が入れ替わっているのかもしれません(笑)。

参考サイト
MMD研究所:2020年3月格安SIM・格安スマホ通信速度調査
https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1850.html

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