昨年10月から改正電気通信事業法が施行され、携帯電話料金と端末代金を明確に分離した、いわゆる「分離プラン」が義務化されました。「実質0円」などといった極度に安い価格で販売されてきたスマホですが、10月以降は一部例外を除き値引きの上限は2万円となりました。
一方でいわゆる“2年縛り”の違約金が1,000円になりました。
こうしたスマホの販売に関わる施策はユーザーのスマホ購買にどのような影響をもたらしているのでしょうか。
情報流通支援サービスの株式会社オークネットは『携帯料金「分離プラン」導入に伴う端末買い替えに関するアンケート』を実施し、その集計結果について公表しています。
分離プランの義務化は業界関係者にとっては大きなトピックなのですが、一般の消費者にはあまり認知が広がっていないのではないかと感じてました。それを裏付けるように、「あなたは、「分離プラン」がどのようなものか知っていますか」という設問では「全く知らない」と回答した人が39.8%も占めていました。
導入前から大きく報道されていた「分離プラン」ですが、まだまだその認知は高まっていないようです。さらには、分離プランによって端末を買い替える際に購入金額が高くなることを知らなかったユーザーが多いこと…。
新品のスマホが極めて安価に販売されてきたわが国では、今後適正な価格でスマホが販売されるようになれば、当然消費者はより安価なスマホを求めるようになるはずです。
実際に、昨秋以降通信各社のスマホラインアップに変化が起きてきています。かつてはハイエンドモデルばかりがラインアップされていましたが(それらがとてつもない値引きによって安価に買えていましたので)、昨秋以降は安価に購入可能なミドルレンジやエントリークラスの中・低価格スマホのラインアップも拡充されてきました。
さらには、中古スマホという選択肢も出てきて良さそうなものです。現行モデル、あるいは一世代型落ちぐらいで新品で買うよりも安価に購入できれば、程度にもよりますがアリなんではないかと思ってます。
しかし、アンケート調査の結果からは、中古スマホは不人気のようですね。新品を希望するにしても、やはり価格はより安価なもののほうが人気が高そうです。
そして中古端末を敬遠するポイントとして、案の定、バッテリーの劣化を気にされる方が多いようです。次いで「他人が使用していたものを使いたくない」という理由も多いです。
中古端末の流通に関わる業界団体であるリユースモバイル・ジャパン(RMJ)は中古スマホを取り扱う際の「リユースモバイルガイドライン」を第二版に改定し、中古端末を取り扱う際にバッテリーの状態を確認、明記することとしました。また、商品として中古端末を取り扱う大手事業者は端末の商品化の際に必ずクリーニングを行なっています。業界関係者は、ぜひこうした中古品も安心して購入できるようになっていることをもっと訴求していく必要がありそうですね。
そして一部のMVNOなどでは、リファビッシュ品という再生スマホ端末を取り扱う事業者もあります。これは中古スマホの外装とバッテリーを新品に交換し、アクセサリー等は新たに新品をセットにして販売する製品で、見た目は新品スマホと変わりません。しかし商品カテゴリー上は中古品となります。中古品のイメージを覆す、こうしたリファビッシュ品などがもっと流通していくと、中古品のイメージが挽回できるのかもしれません。
オークネット総合研究所『携帯料金「分離プラン」導入に伴う端末買い替えに関するアンケート』
https://www.aucnet.co.jp/nw/20191220_01/
リユースモバイル・ジャパン(RMJ)
https://rm-j.jp/