身体に異変を感じた時に、いつでも手元にあるスマホから手軽に医師に相談できたら便利ですよね。
じつは世界ではそうしたサービスが利用できるのですが、残念ながらわが国ではなかなかローンチして来ませんでした。
そうした中で、LINEが11月よりオンライン診療サービス「LINEドクター」をスタートさせることになりました。すでに昨年12月からサービスインしている健康医療相談サービス「LINEヘルスケア」に、いよいよ診療サービスが加わります。
さる9月12日、13日に開催されたITヘルスケア学会主催『モバイルヘルスシンポジウム2020』に、LINEヘルスケア株式会社 代表取締役社長の室山真一郎氏が登壇しLINEヘルスケアおよびLINEドクターの構想を講演されました。その講演から、LINEドクターの目指しているところをご紹介します。
現在LINEは、国内約8,400万人のユーザーが利用しているプラットフォームとなっています。そのLINEがなぜヘルスケア領域に進出しようとしているのでしょうか。
室山氏は「多くの人にとって、医療にかかるのは“非日常のできごと”になる。非日常の中で専用のアプリをダウンロードして、使い方を模索してとなるとハードルが高くなってしまう。非日常だからこそ日々使って慣れ親しんでいるアプリの方がよいと考えた」と、LINEヘルスケア設立の目的を語りました。
現在は、厚生労働省のガイドラインに準拠した「遠隔健康医療相談(医師)」として『遠隔健康医療相談サービス』を提供しています。これはLINE上で医師に健康相談ができるサービスで、2019年12月にAndroid版、2020年1月にiOS版がローンチしています。
LINEの友達に医師がいるような感覚で気軽に相談できるもので、1回に健康不安を3つまで相談できます。診療診察行為まで行っていませんが、室山氏によれば顧客満足度は約90%と高い評価を得ており、現在友だち数は780万人に上るそうです。この半年間で30万件の相談リクエストを得ています。
LINEヘルスケアが将来的に目指してきたのは、LINEを通じた「オンライン診療」に加え、オンライン経由で薬も受け取れるサービスや、既存の医院等ともつながるオフライン、オンラインが融合した医療・健康支援でした。しかしながら、わが国ではオンライン診療に関して厳しい制約(オンライン診療指針)が定められているため、まずは「遠隔健康医療相談」からスタートしていました。
しかし、新型コロナウイルス感染症拡大をうけて、厚生労働省は4月10日に「オンライン診療に関する次元時限的緩和処置」を行い、対面原則としていた初診からオンラインでも可能としました。これにより、LINEヘルスケアでも「オンライン診療」に舵を切ることを決断し、今年11月からオンライン診療サービス「LINEドクター」をスタートさせることになりました。
現在、参加クリニックの事前登録がはじまっており、多くの医療機関から申込みがされているそうです。
「LINEドクター」の利用フローはとても簡単。体調が不調のときにまずは「LINEドクター」にアクセスし、クリニックを検索・予約を行います。そしてLINEビデオ電話を使って診察してもらいます。診察料はオンライン上で決済。状況によって投薬では済まない状況であれば専門の医療機関の受診が促されます。
LINEヘルスケアは、医療におけるテクノロジーの役割はOMO(Online Merges with Offline)だと考えています。オンラインだけで解決するものではなく、オフラインと融合することで、患者が最適な方法をとって健やかな生活を実現することをサポートしていきたいと述べていました。