MVNOはいつサブ回線からメイン回線に昇格できるのか?|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

<図1>メインで利用している通信サービス

MMD研究所は「2020年3月格安SIMサービスの利用動向調査」を実施し、その概要を公表しました。調査の対象は15歳~69歳の男女41,120人で、調査実施期間は2020年2月13日~2月20日。じつはこの調査は毎年行われていまして、MVNOの認知や利用動向の推移を理解する指標として毎年データを眺めています。
今年の調査の結果の中から、着目したポイントを記しておきたいと思います。

まずメインで使っている回線のMVNOシェアですが、年々微増を続けており、2020年はMVNOが前年から1.7ポイント増の14.0%となりました。MVNOって、まだこの程度の利用率に留まっているのです。キャリアサブブランドのY!mobileと合わせても20.3%です。

<図1>メインで利用している通信サービス
<図1>メインで利用している通信サービス

 

<図2>メインで利用しているMVNO利用率の推移
<図2>メインで利用しているMVNO利用率の推移

この調査では「メイン」で利用している回線を調査しています。近年はスマホを2台持ち、3台持ちする方も少なくありません。そうしたユーザーの多くは、メインはMNOの回線を利用し、サブ端末のほうでMVNOを利用するというケースも多いはず。ですので、サブ回線まで調査を掘り下げていくと、MVNOの利用率はぐんと高くなるのではないかでしょうか。
そう勘ぐるのは、MVNOの認知も年々高まっているからです。この調査ではMVNO(格安SIMサービスとして調査)の認知についても毎年調査を行っています。

今回の調査では「格安SIMという言葉は聞いたことがあるが、サービス名称・内容はよく知らない」が26.7%で最多となり、続いて「だいたいどんなものかわかるが、利用したことはない(利用を検討するまでに至っていない)」が22.3%、「現在も利用している」が20.1%と続きました。

<図3>MVNOのサービス認知
<図3>MVNOのサービス認知

この認知から現在利用までのファネルに落とし込むと、「全く知らない」(9.4%)を除外すれば90.6%のユーザーがMVNOを「認知」していることになります。ほとんどのユーザーがMVNOの存在は知っているというところまで来たわけです。

<図4>MVNOの認知(ファネル分析)
<図4>MVNOの認知(ファネル分析)

この調査では、どのMVNOを利用しているかの調査も毎年実施されています。MVNOも統廃合が進み始めているところですが、そうした中で楽天モバイルが独壇場になりつつあります。なお、ここでいう楽天モバイルは2020年4月からサービス開始されたMNOではなく、あくまでMVNOのほうの楽天モバイルです。MNOとしての参入を目指し、MVNOの事業においても着々とユーザー獲得に様々な施策を打ってきました。今後はこのユーザーをMNOサービスのほうへ移行させていく戦略にかじ取りするのではないかと見ています。

<図5>メインで利用しているMVNO
<図5>メインで利用しているMVNO

<参考>
MMD研究所:
メイン利用のMVNOシェア、2020年は14.0%、(昨年3月は12.3%)、MVNOとY!mobileを合わせると格安SIMメイン利用シェアは20.4%に
https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1852.html

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