現在の国内アパレル業界はかつてない不振に陥っているのだとか。大手アパレルブランド店舗や百貨店が数多く閉鎖し、業界全体に「思考停止」状態が蔓延している、とも言われています。アパレル産業が黄金期だったのは、DCブランドが世界で通用し「作れば作るだけ売れた」1970年代。これを最後に、その時代の成功体験を引きずったアパレル産業では、イノベーションが無いままの状態に陥っているとの論評も。
確かに、テクノロジーの観点から見るとアパレル産業はデジタル技術の導入が他の産業よりも遅く、これが成長を止めている要因の1つとして挙げられるかもしれません。どんどんICTを取り込んで、さらにファッションにも敏感な10~20歳代のいわば「デジタルネイティブ」世代もどんどん起用して、アパレル産業の再興にチャレンジしましょう。
そもそもファッションにも疎い筆者ですが、アパレル関連でちょっと面白い話題を見つけてしまいました。このほどセントラルフロリダ大学(UCF)光学&光通信学カレッジの研究チームは、電気制御で色を変えられる繊維「ChroMorphous」を開発しました。それが何に使えるか?! たとえば、この繊維を生地として使って服を仕立て、その服に電流を流せるワイヤーを通すことで温度調整を可能とさせ、これによって服の色を変えられるなんてことができてしまうのです。
温度を上昇させるというと、着てて熱くないのかと思ってしまいますが、実際は皮膚に触れていても温度変化はほとんど感じないそうです。ちなみに温度は0℃~69℃の範囲で変化し、肌触りはデニム素材に近いため着心地は問題ないのだとか。
色の調整には、当然のことながらアプリを使ってスマホからの操作なんてことも可能になってきます。研究チームはChroMorphousの色を変えるスマートフォン用アプリもすでに開発してデモンストレーション済み。スマホの画面をタップするだけで服の色を気分に合わせて変化させられるというのです。ユーザーは好みの4パターンの色の中から選択が可能で、その都度変更が自在なのです。試作品では無地のリュックサックがストライプ柄に変化するなど、色だけではなく柄の変化という応用技もできるようです。
「買った服は変えることが出来ない」という当たり前なことも、こうした最新ICTを応用してアイデアを膨らませることで新しい楽しみ方を生み出してくれます。商品化、そして日本での登場がとても待ち遠しいですね。
参考サイト
University of Central Florida, CREOL, The College of Optics & Photonics
https://www.creol.ucf.edu/NewsEvents/NewsDetail.aspx?NewsID=798
https://www.youtube.com/watch?time_continue=18&v=28uJbU4ccoQ