かなり変わった携帯電話の登場です。一見、固定電話にしか見えませんが、じつは携帯電話です。電話線はありません。そしてアンテナが際立っているでしょ! じつは2011年にPHSでラインアップされた「イエデンワ」が携帯電話(3G)になって復活なのです。イエデンワのほか、ストラップホンなど、かなりキワモノばかりを世に送り出してきたメーカー・エイビットが満を持して発売開始してきたのがこの3G版イエデンワ「ホムテル3G」(製品型番はAK?010)です。エイビットの公式オンラインショッピングサイトで発売開始したほか、MVNOのもしもシークスも「スゴい電話」として販売を行います。価格は35,000円(税別)で、回線契約を伴わず端末単体で購入可能です。
もちろんSIMフリーで端末単体で購入可能
このホムテル3G(AK?010)は昨年11月に製品発表会が開かれ、一部の関係者の中でかなり話題を呼んだ端末でした。その後予約販売の受付を始めていたようですが、ようやく出荷が開始され、筆者の手元にも届きました。端末はSIMフリーで、もちろん回線契約を伴わず端末単体で購入が可能です。通信方式はW-CDMA、HSDPA/HSUPAで、周波数は800MHz/2.1GHzに対応ということで、NTTドコモ回線(含、MVNO)でもソフトバンク回線でも利用可能です。auに関しては通信方式が異なるので使用ができません。3Gのみの対応でLTEでは利用できません。
いったい、この携帯電話はどんな使い道があるというのでしょうか。いやはや、それはもう「これぞ電話という気分で音声通話をたしなむためにある」と言い切るしかないでしょう。いかにも電話しているぞという気分に盛り立ててくれる握りやすい受話器、通話中の手持ち無沙汰を指でクルクルしたりして気を紛らわせてくれるカールコード、留守番電話は明るいボクの声でもOK、余裕な大きさの数字キーは作業手袋をしたままでも押し間違えなし、などなど固定電話の素晴らしさをそのまま携帯電話回線で味わうことができちゃうわけです。
さらに、NTTドコモ、ソフトバンクともかけ放題プランが用意されていますから、このプランをセレクトすれば最安2,200円(税別)でかけ放題な電話を設置することができちゃいます。いっそ、固定電話回線の契約もやめちゃいますか!
かつてのイエデンワは、AC電源または単3アルカリ乾電池4本での動作が可能でした。乾電池で動作するというのは画期的で、東日本大震災の教訓もあり非常時の端末として法人や自治体からの問い合わせが相次いだことが知られています。実際に災害時用電話として配備した企業や自治体も多数ありました。
この3G版となったホムテル3Gは、AC電源、単3アルカリ乾電池のほかに、専用リチウムイオン充電池が付属しAC電源で充電して、移動して使う時は内蔵電池での動作させるといった使い方も可能になりました。専用リチウムイオン充電池の使用で連続待受時間は約175時間、連続通話時間は約4時間です。デスク以外に時々ホムテル3Gを持ち歩いたり、他のデスクで使うぐらいな利用では、十分なバッテリー容量でしょう。さらに単3アルカリ乾電池を使うと連続待受時間が約350時間、連続通話時間は約8時間に伸びます。乾電池なら最大14日ほどの待受が可能なのです。これは確かに、緊急時用のストック電話として所持しておくのもいいかもしれません。本当に緊急事態のときは、普段スマホで使っているSIMカードをこのホムテル3Gに挿し直すだけ、単3アルカリ乾電池4本でまさにコードレスな命綱となってくれます。
テザリング機能でモバイルWi-Fiルーターにも
ホムテル3Gは「3Gテザリング」機能が備えられています。テザリングをONにすればこのホムテル3GをモバイルWi-Fiルーター代わりにしてデータ通信が利用可能です。ただし、あくまで3Gです。LTEが当たりまえになった現在、その通信速度には遅さを感じざるをえないのですが、緊急時のデータ通信手段として乾電池でも動作してくれるのがありがたいところでしょう。メーカーのエイビットでは、このテザリング機能を通じて、Webカメラやスマホ、タブレット、ゲーム機などを接続させ「ホームネットワークターミナル」代わりの活用を提案しています。さらには、各種センサー等IoT機器をホムテル3GのWi-Fiでぶら下げて、IoTゲートウェイの役割も果たすことも期待できそうです。
いったいそれはどういうこと? たとえば工事現場であるとか農家のビニールハウスなどで、ホムテル3G自体は固定電話代わりの「電話機」として活用できるほかに、現場に設置された各種センサー類などをインターネットに接続させるためのアクセスポイントとして大活躍するはずです。センサー系のIoT端末ならLTEの高速大容量通信は無用でしょう。ホムテル3Gのテザリング機能で十分なはずです。
その他、ほぼノリで入れてしまったであろう、用途不明な「フライトモード」機能なんてものもあります。ネタに尽きませんね。かつてのイエデンワには熱烈なファンが多く、あえてイエデンワを旅の友としてカバンに入れて旅行された方であるとか、イエデンワにジャストフィットな革製キャリングケースを自作されてしまった方などもネットで話題になりました。これ、本当にキャリングケースとか発売されないものでしょうか。そしたら、肩にホムテル3Gをぶら下げて出かけてみたいものですね。