わが国ではAndroidといえば、スマートフォンやタブレットのOS(基本ソフト)というイメージがすっかり根付いていますが、そもそも通信機能を備えたオープンソースのプラットフォームです。ですので、通信機能を持たせる様々な機器への応用が可能なわけですが、わが国ではどうしても通信事業者が回線契約とセットで販売する製品ばかりを想定して商品企画してしまうので、なかなかスマートフォンやタブレット以外の端末を目にする機会がありません。しかし世界に目を向けると、Android OSとタッチパネルを備えた冷蔵庫(韓国で目撃)など、家電に応用した事例も散見されました。そして、このところ最も気になっていたのが、車載専用Android端末です。自動車における車載電子機器といえばカーオーディオやカーナビゲーションが真っ先に思い浮かぶと思いますが、これをAndroid端末に置き換えてしまおうというわけです。
2DINサイズにきれいに収まるAndroid端末
筆者が購入したのは、Eononというブランドで日本語サイトを持つ企業の製品です。同社のサイトではカーナビやカーオーディオ等の取り扱いを行っていますが、これらは何かと話題の中華製端末です。従って、国産カーナビゲーションメーカーの製品に比べればその価格はリーズナブル。筆者が入手したのは、このサイトに並んでいる製品群の中でもおそらく最新モデルと思われるG2110ZJ。2DINサイズで6.2インチの静電式タッチパネルを搭載しAndroid OS 4.2.2を備えた“カーナビゲーション”となっています。製品スペックとしては、CPUはRockchip 3066 Coretex A9 デュアルコア、内部メモリは8GB。まあ、安価な中華タブレット程度のものでしょうか。そして注文して2日後には製品が到着。さっそく、自動車に取り付けることにしましたが…。
まず、製品を開封して驚いたのは、製品マニュアルが無いこと。同梱物は接続ケーブル類、マイクやGPSアンテナ、そして本体のみ。ケーブル類は、ケーブルごとに何の信号の入出力に使うものかが記載されており、またそのケーブルを本体のどのソケットに接続するかが本体上部に記載されていますので、カーオーディオやカーナビゲーションをご自身で取り付けられたことがある方でしたらそれほど悩むことも無く配線と取り付けは完了するものと思われます。ともあれ、さすが中華製、開封時点から“自己責任、自己判断”を強いられます(笑)。
今回の取り付け作業では、ETCやハンズフリー装置(このAndroid車載機にもハンズフリー機能があるようですが、操作性を考え別途取付)などの取り付け作業も同時に行いましたが、実質的な作業時間は2~3時間もあれば十分でしょう(車両のオーディオパネル周辺の着脱作業を心得ているという前提で)。取り付けに自信が無い方向けには、Eononと提携した取り付け可能工場等の紹介をウェブに掲載しています。現時点で沖縄から関東、北陸まで計14店が紹介されています。ウェブによれば、あくまで“当社がお薦めする取付け協力業者の一覧”だそうです。
一応、この後、最小限の動作確認を行い、すでに夜も深まってきたのでセットアップは翌日にやることにしました。自室にて、改めてマニュアルを探してみたところ、Eononウェブサイトの「お客様サポート」の中に、「取扱説明書ダウンロード」というページがあるではありませんか(笑)。せめて、製品本体に、「取扱説明書はウェブサイトからダウンロードできます」といった1枚ペラの説明書きで良いので、入れておいてくだされば安心する方も多いでしょうに。
しかしながら、当該製品である「G2110ZJ」の日本語取扱説明書をダウンロードしたところ、基本的な製品操作のみで、読まなくても分かるところしか情報がありませんでした。この製品には、合計30本もの接続ケーブルおよび端子が備えられていますが、中には「3G/USBケーブル」なんてものが2本もあったりして、これに何をつなげばよいのかも分かりません。「3G」と書かれているので、データ通信用USBドングルを接続すれば、常時通信機能を持たせることができるのかもしれませんが、あいにく手持ちで試してみることが出来るドングルが無く、検証は後日としました。
また本体上部右端にはマイクロSDカードスロットらしきものがありますが、その正反対の位置(本体上部左端)にも同様なスロットがありますが、GPSとだけしか書かれておらず、用途が不明です。こうした点はダウンロードした取扱説明書にも記載が見つかりませんでした。まあ、一般的なユーザーであれば「不親切」と思われるのかもしれませんが、好奇心旺盛な筆者としては、こうしたものを“探る”楽しみがもうたまりません。当面、この怪しげな中華製車載機にぞっこんです。
本日のレポートでは、「とりあえず取り付けてみた」というところまでですが、今後、あれこれ検証し、また機会がありましたら報告させていただきたいと思います。カーナビゲーションを備えていない自動車を運転する際には、スマートフォンやタブレットのマップ機能などを用い、目的地に向かったりしましたが、やはり自動車側のイグニッションのON/OFFで起動、終了してくれて、しかも起動中は常時ディスプレイが点灯、またヘッドライトのON/OFFに連動してディスプレイの輝度調整もしてくれるという点で、車載専用機は同じAndroidを使うにしても、非常に使いやすいと感じました。
あとはサポートの問題でしょうか。ダウンロードした取扱説明書の日本語もかなりたどたどしい感じです(とはいえ、誠心誠意、日本のユーザーのために日本語訳いたしましたという感じが伝わってきて好感は持てます)。2年保証とうたっていますが、ちなみに保証書は付属しておりませんでした。販売履歴から追ってくれるのでしょうか。そもそも、この販売した会社は2年後まで日本で営業をしているのでしょうか。そんな不安もありますが、まずは楽しく使ってみることにします。