タクシー配車アプリの激しい戦いが始まっていた!|木暮祐一のぶらり携帯散歩道

みなさん、タクシー配車アプリってご存知でしょうか。2011年1月に日本交通が初めて導入し、これに追従する形で2012年3月には東京無線が同様のアプリを導入。その後全国に広まり、さらに今年に入ってからは世界で使われているタクシー/ハイヤー配車サービス「Uber」「Hailo」も参入しました。そしてこの年末には日本交通や東京無線がアプリでの配車を利用した際にTポイントが付与されるサービスを開始するなど、各社の競争が一段と激化しています。

タクシー配車アプリとは

 タクシー配車アプリを最初に提供開始したのは日本交通で、2011年1月にスタート。その後、全国のタクシー会社と順次提携し同年12月には「全国タクシー配車」の提供を開始し、このアプリ1つで全国47都道府県でタクシーを呼べるサービスへと発展しました。これを追う形で、東京無線共同組合は2012年3月より「すぐくるタクシー 東京無線版」を提供開始。さらに、全国の提携タクシー会社がそれぞれ独自の会社名の「配車アプリ」として展開できるようそのソリューションやノウハウを提供し、全国へ拡大させていきました。東京無線系では、それぞれ各地のタクシー会社アプリ内で、他の都道府県に行った際にもそのアプリ内から提携先のタクシーを呼び出せる機能を搭載しています。

 これらタクシー配車アプリの使い方はとても簡単です。アプリを起動すると、位置情報を使って自分が居る周辺の地図が表示されます。地図を拡大していき、タクシーに来てもらいたい場所(「ココに呼ぶ」のマーキング)を確定させ「すぐにタクシーを呼ぶ」をタップすれば呼び出し完了です。タクシーの到着時間の目安や、向かっているタクシーの現在地などを確認することもできます。

 なお、アプリの利用は無料ですが迎車料金が加算されます。日本交通は410円、東京無線共同組合は310円です。また、地方の提携タクシー会社では、迎車料金を取らないところもあります。

アプリを起動し、地図を拡大させ、タクシーを止めたい場所を決定したら「すぐにタクシーを1台呼ぶ」をタップするだけ。到着予想時刻や向かっているタクシーの走行位置などが確認できます(すぐくるタクシー 東京無線版)
アプリを起動し、地図を拡大させ、タクシーを止めたい場所を決定したら「すぐにタクシーを1台呼ぶ」をタップするだけ。到着予想時刻や向かっているタクシーの走行位置などが確認できます(すぐくるタクシー 東京無線版)
あっという間に、配車指示したタクシーが到着。
あっという間に、配車指示したタクシーが到着。
タクシー車両に設置されているカーナビは専用のもので、アプリから配車指示があるとこのディスプレイに配車先や顧客名等が表示されるそうです。配車センターのオペレーターを介さずにアプリからダイレクトに指示が飛びます。
タクシー車両に設置されているカーナビは専用のもので、アプリから配車指示があるとこのディスプレイに配車先や顧客名等が表示されるそうです。配車センターのオペレーターを介さずにアプリからダイレクトに指示が飛びます。

 東京では、街中を空車のタクシーが流れているので、あまり配車サービスを利用するシチュエーションは少ないかもしれませんが、住宅地の奥まったところであるとか、終電終了後など空車が見つからないときに大変重宝するサービスです。また地方都市ではタクシーの流しがないこともしばしばあり、地方出張の際にも大変重宝します。むしろ、郊外や地方都市での活用に向いたサービスなのかもしれません。

 こうした配車サービスは、従来は電話によりオペレーターが対応し、空車に対して迎車の指示をしていました。近年、タクシー無線のデジタル化が進み、タクシー配車の裏側もかなりIT化が進展しました。実際にタクシー配車のオペレーションルームを見学させていただいたことがありますが(東京無線協同組合の提携先のひとつ、青森県八戸市の三八五交通のオペレーションルーム)、驚いたことに稼働中のタクシーの居場所や走行方向、空車か実車中か、あるいは回送かというタクシーの状態がモニター上で一目で確認できるようになっていました。そしてお客様から電話により配車の依頼があると、着信通知番号からお客様が指定する場所のリストが自動表示され(お得意様の場合)、配車先が確定するとその最も早く到着できるタクシーがリスト表示され、あとはオペレータがリスト中のタクシーをクリックするだけで、配車指示が完了という具合です。

 そして、スマホアプリからの配車指示は、このオペレーション業務を介さず、ダイレクトに最寄のタクシーに迎車場所の指示が飛びます。そしてその位置関係から、到着予想時間やタクシー番号等の情報が、スマホアプリに表示される仕組みです。

オペレーションセンターのタクシー稼動状況を見るモニター。自社のタクシー位置や走行方向、稼動状況などが一目瞭然です。(青森県八戸市/三八五交通)
オペレーションセンターのタクシー稼動状況を見るモニター。自社のタクシー位置や走行方向、稼動状況などが一目瞭然です。(青森県八戸市/三八五交通)
お客さまから配車依頼の電話が掛かってくると、発信者番号通知を元に、そのお客様が頻繁にタクシー配車を指示する住所等が一覧表示され、簡単な操作で最寄の空車に迎車の指示を出せます。
お客さまから配車依頼の電話が掛かってくると、発信者番号通知を元に、そのお客様が頻繁にタクシー配車を指示する住所等が一覧表示され、簡単な操作で最寄の空車に迎車の指示を出せます。
アプリによる配車指示の流れ。(東京無線協組合の報道発表資料より)
アプリによる配車指示の流れ。(東京無線協組合の報道発表資料より)

Tポイントの付与でさらなる利用拡大へ

 冒頭でも書きましたが、アプリによるタクシー配車サービスはついに外資系も参入し、一段と競争が激化してきました。日本での老舗タクシー配車アプリサービスを展開する日本交通や東京無線協同組合もうかうかしてはいられません。

 まず日本交通は12月3日から、ネット決済手段としてタクシー料金を「Yahoo!ウォレット」での支払いに対応すると共に、タクシー配車アプリを使ってYahoo!ウォレットでネット決済支払をした場合にTポイントを2倍付与するキャンペーンを12月31日まで展開しています。一方の東京無線協同組合は12月9日より、タクシー配車アプリにYahoo! JAPAN IDを登録することで、配車アプリを使ってタクシーを呼ぶと5ポイントのTポイントが付与されるようになりました。タクシー乗車料金はこれまでどおりTポイントが付与されるクレジットカードや電子マネーで支払えば、乗車料金に相当したTポイントが別途付与されます。

 年末年始の夜間などの繁忙期は、空車のタクシーを見つけるのも難しく、またオペレーションセンターも混雑してなかなか電話がつながらないといった状況に陥ることも多いもの。そうしたシチュエーションで、これらタクシー配車アプリは大変重宝しますよ。ぜひご活用を。

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