このほど時間貸駐車場を簡単に検索できるアプリ「Smart Park」というものがリリースされました。駐車場検索のサービスはすでに多数アプリでも提供されているのですが、この「Smart park」が他のサービスと異なるのは、独自開発したセンサーを駐車場に取り付け「満」「空」がスマホ画面上で分かるようにしてしてしまったという、いわば駐車場IoTというようなサービスなのです。
IoTを使って満空が分かる駐車場検索アプリ
この「Smart Park」はスタートアップベンチャーの株式会社SPOT(以下、SPOT)が、10月18日から提供を開始したサービスです。時間貸駐車場検索はこれまでも多数のアプリが提供されていますが、たとえばタイムズ24や三井のリパークなどの駐車場事業者が提供するものの場合、他の事業者の駐車場が検索できませんので決して使い勝手が良いとはいえませんでした。駐車場を探しているユーザーの視点で考えれば、事業者に関係なく検索できたほうがありがたいですね。その点Smart Parkは、まだ全てではありませんが主要な駐車場事業者と提携し駐車場事業者を超えて検索をかけることができます。
SPOTの話では、時間貸駐車場事業者は大手10社でも過半数に届かないほど中小零細の事業者が多く、また地域によっても参入企業の事業範囲やシェアが異なっており、実質的なプラットフォーマーが存在しない業界といえるのだそうです。そして、大手は独自に満空が分かる仕組みを精算機に入れ、また独自にアプリを提供することもできるのですが、中小以下の時間貸駐車場を経営する大多数の事業者は、そのようなサービスを導入する余裕などありません。
そこで、このSPOTが中立的な立場で駐車場を検索するアプリを提供、さらに満空情報を検知できる独自開発のセンサーを設置するというサービスを始めたのです。まずはiOS版アプリが提供開始され、Android版アプリは近日公開予定ということです。
そのIoTの仕組みですが、SPOTが独自開発した「満空検知センサー」を時間貸駐車場の入り口などに設置されている「満」「空」と表示するLED表示部分に貼り付けることで満空を検知し、リアルタイムにアプリに配信します。この満空検知センサーにはソーラーパネルと3G通信モジュールが備えられており、満空が切り替わるたびに信号をサーバに送信します。単体でソーラー充電機能を備えているので電源工事等も不要、なので依頼があればわずか20分で設置工事が完了するという簡単なものとなっています。
今回リリースされたSmart Parkサービスでは、現在北海道から沖縄まで日本全国約45,000カ所の駐車場が検索可能で、このうち満空情報が表示できる駐車場が約13,000カ所となっています。SPOTが独自開発した満空検知センサーは、東京都内10区、計1,000カ所の時間貸駐車場に設置され、まずは試験運用として満空情報配信が開始されています。SPOTでは2017年3月までに、この満空検知センサーをさらに5,000カ所増設するそうです。
検索アプリの出来も秀逸
そして駐車場を探すユーザー側のSmart Parkアプリも使い方は極めてシンプルです。駐車場を探したいエリアをアプリに表示させ、あとは検索ボタン(虫めがねアイコン)をタップするだけ。検索結果に数字が振られていますが、これは画面下部で設定した駐車予定時間から料金がシミュレーションされて、料金順に数字が表示されます。
また、実際に駐めた後は、その駐車場の料金をシミュレートしつつ、料金を参考にアラームを設定することもできます。シミュレート開始を駐車開始時間として何時にいくらに駐車料金が上がるかが画面表示され、たとえば「2,400円で駐められる時間ギリギリまで駐車をしたい」といった場合にこのアラーム機能が大変重宝します。
駐車場の満空状態は駐車場の位置を示すアイコンの色で分かります。緑色なら現在空いている駐車場、赤色なら現在満車の駐車場という具合。まだ満空情報に対応していない駐車場もそれなりに多く、それらは黄色表示となります。
このサービスを考案し提供開始したSPOTですが、同社は「IoTソリューションにより自動運転社会に向けたリアルタイム目的地情報プラットフォームの構築を目指す」というビジョンを掲げています。たとえば、こうした時間貸駐車場のデータが蓄積されたプラットフォームは、将来の自動運転社会にも必要不可欠なものになるというのです。自動運転技術が注目されてはいますが、よくよく考えてみるとそのイメージに描かれているものは走っている場面だけ。本当に自動運転社会が実現した場合、自動運転車を使って移動する際には必ず駐車場に関わるデータが必要になってくるはず。とくに自動運転車の最終目的地は時間貸駐車場というケースがかなり多くなるとSPOTは考えています。そんな将来に求められるデータをいかに収集し、蓄積し、有効に活用してもらえるようにするか、これを考えていくのが使命であるとして事業を推進していくそうです。確かに、自動運転社会に欠かせないデータになるはずですね。