日韓関係が冷え込んでいるのが気になる日々ですが、私は以前から韓国にも友人が多く、年に1~2回は渡航しては現地の友人たちと飲み歩いたりしています。そういう友人たちが、ソウルやその周辺の色々な場所(とくに日本人も行かなさそうな場所が個人的には好きだったり…)に案内してくれたのですが、かつて円高ウォン安だった頃は、ケータイやスマホ以外にも、韓国で色々なものを買って帰国していました。たとえばスーツなんかは韓国製は生地も仕立もなかなか良いので、アウトレットなどに連れて行ってもらい、旅行ついでに買って帰ることもしばしばありました。
GALAXYというファッションブランドがあった!
友人によく連れて行ってもらったアウトレットは、ソウルからクルマで小1時間ぐらい走った水原(スーウォン)市にある、小さなブランドスーツ専門のお店。世界の一流ブランドのスーツが意外な価格で買えるとあって、これまで何度か連れて行ってもらいました。ちなみに水原市というのは、知る人ぞ知る、サムスンの工場がある都市で、当然、このアウトレットもサムスン関係者がよく利用しているという話を聞いてました。
そのアウトレット店から、あるとき買って帰ってきたスーツのブランドの1つが、なんと「GALAXY」というブランド。たしか、このスーツはサムスンがスマートフォンのGALAXYシリーズを発売する前に購入したものです。となると、分野は違うけど、GALAXYって商標は韓国内でこのスーツメーカーとどんなことになっているのだろうとちょっと疑問に思っていました。
昨年のある日、たまたま日本のサムスン関係者と歓談したときに、偶然このスーツを着ていたので「そういえば、このスーツはGALAXYってブランドなんですよ。韓国で買ったものなんですけど、御社のスマホと同じ名称なんですよね」って尋ねてみました。そしたら、なんとなんと…。
サムスンGALAXYブランドはスーツから始まっていた
そのサムスン関係者によると、じつはこのGALAXYというスーツブランドは、ファッションや繊維、化学素材などを扱う「第一毛織」というサムスングループ企業の製品であることが判明! 韓国内では、サムスングループのファッションブランドとしてGALAXYの認知も高く、その後登場するスマートフォンのブランドとしてサムスンがこのGALAXYというネーミングを採用したのだそうです。
つまり、すでに世界的なスマートフォンブランドとなっているGALAXYのブランドルーツは、スーツだったというわけ。これには、そのスーツを着ていた自分自身も驚いてしまいました。
気になって第一毛織という企業を調べてみましたが、歴史は古く、1954年、繊維事業を主力としてサムスングループの母体企業として創業したそうです。その後、1980年代にファッション事業、1990年代にケミカル事業、2000年代には電子材料に進出。昨今では化学素材や電子素材など、先端材料を製造する事業の比率を高めてきたようです。そして2013年10月にはファッション部門をグループのサムスンエバーランド社に譲渡し、先端材料産業に投資を集中。
サムスングループの母体企業として船出した第一毛織は、創業から60年目となる今年、グループ内の再編により2014年7月にバッテリー事業などを行うサムスンSDIと合併統合され、60年もの長いブランドに幕を下ろすことになるそうです。
「GALAXY」というと、すぐにスマホを思い浮かべてしまいますが、韓国ではファッションブランドとしてもすっかり浸透しているんですね。今月初旬にソウルのロッテ百貨店をのぞいたら、まだGALAXYというファッションブランドはしっかり残っていました。
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